loveM’s Diary

嬲る仁義

灼熱の魂(2010)

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なんともはや、いやーな気分にさせられました。

どうしてこんな結末なんだろう。この手のオチは何か70年代の金田一シリーズにありそうな感じです。境遇を想像しただけで吐き気がします。

禁じ手というかタブーというか。

監督は最近よく聞くドゥニ・ビルヌーヴ。私ならビルヌーヴと言ったらレーシングドライバージル・ビルヌーヴ。ビルヌーヴと言うのはカナダのケベック州ではよくある名前みたい。ジルもドゥニもケベック出身。

ドゥニ・ビルヌーヴは麻薬戦争を題材にしたボーダーラインが良かったなあ。ベニチオ・デル・トロがまた良いのよ。

灼熱の魂は2010年に注目を浴びるようになった彼の出世作ですね。

 

あらすじです。

カナダで暮らす双子兄妹シモンとジャンヌは、亡くなった母ナワルの雇用主でもあった公証人ジャンから奇妙な遺言状を受け取ります。

手紙の中身は兄妹それぞれが自身の兄と父に対し母親からの手紙を渡せと言うもの。

しかし父は幼少期に死んだと思っていたし、もう1人の兄の存在など知らないしで困惑する兄妹。

ジャンヌは父を、シモンは兄を探しに、母の祖国レバノンに向かいます。そこで母親ナワルの人生を辿るうちに衝撃的な事実を知るに至ります。その事実から母親の悲しくも抗えない運命と兄妹自身の出生の秘密が明らかにされます。

というお話。

 

序盤から謎解きに向けたストーリーが展開され好奇心を刺激します。しかしこうだったらイヤだなーと思ってたらやっぱりそうか。

テロ暗殺行為により十数年も過酷な刑務所にいたとか、その刑務所で尋問のプロからレイプされまくったとか、恋に落ちた男性は射殺されその男性との子供と産んだ瞬間引き離されるとか展開が暗く陽気さは皆無。でも目が離せない。

 

レバノンの歴史はよく知らなかったんだけど1975年から内戦でムスリムキリスト教徒が争っていた時期です。母親はその内戦に巻き込まれた形です。内戦さえなければ避けられた人生。人の一生を変えてしまう程の事なのです。

 

ナワルが引き離された子供を探しに行くためバスに乗るのですが、敵方だと思われ乗客もろとも生きたままバスが焼かれてしまうピンチに陥ります。そこで実は味方だと申告しナワルだけ助かるのですが、幼ない子供だけでも助けようと他人の子供を自身の子供と偽ってバスから降ろすシーンが印象的でした。結局は子供は助かる程大人ではなかったのですが。

とりあえずこのシーンでああっ、、

そして後年、娘と訪れたプールで出会った人物は誰だったのか?

このシーンでおおっ、、。

 

オチはどうであれ現代の兄妹の時代と母親の時代を交互に見せるその飽きさせない構成と演出は見事だと思いました。

 

まあ私なら知らない方が良かったです。

知らぬが仏。