TBSドラマ 岸辺のアルバム(1977)
日本映画専門チャンネルで放映していたドラマ『岸辺のアルバム』が今週15回の幕を閉じました。今の民放では絶対に放映出来ない要素がてんこ盛りの超問題作と言えましょう。
ある夫婦とその子供を軸に家族の崩壊と再生を当時の世相や事件とか背景を絡めて描いた作品になります。
キャストは父親が杉浦直樹に母親が八千草薫、姉が中田喜子、弟が国広富之。津川雅彦や竹脇無我、風吹ジュン、村野武範が脇を固めています。
脚本は山田太一でプロデュースが堀川とんこう。
ドラマと言えばTBS、脚本と言えば山田太一。
そう、この人のドラマは何を見ても面白い。
人間関係における脆さを描くのが上手いんですよ。
ネタバレしちゃうと4人家族はみんな秘密を握っていて、杉浦直樹は家庭を顧みず、業務命令とは言え法に触れるようなことまでしている。そんな父親に全く相手にされずに不倫に走る八千草薫。
中田喜子は大学生で周りに溶け込めず大人ぶって
外国人と付き合ったら遊ばれてしまい妊娠中絶。国広富之は過去の出来事から負い目を感じる娘と交際し、更に受験に失敗。
偽りの笑顔を作って家族で写真に収まるが、それが偽りだと国広富之が全ての秘密を知ってしまい暴露してしまう。そんな折、多摩川の水害で家が崩壊、流出してしまう。家族崩壊したのに杉浦直樹が持ち出すのはやはり家族のアルバムで、、
という暗ーい設定なんです。タイトルからほのぼのしたホームドラマを期待してはいけません。
男は夫しか知らないという貞淑そうな八千草薫が不倫するのでビックリです。杉浦直樹とのエッチシーンも何か見たくない感じ。お母さんみたいなんだもの。
オープニング曲はジャニス・イアンの『WILL YOU DANCE』
物語展開の暗さに水害被害の実際映像と気怠い声が妙にマッチしていました。
現代と比べると興味深いことばかり。
杉浦直樹のように家庭を顧みず会社のために何でもするモーレツ社員は減っただろうけど、逆に人妻の不倫はSNSなどをはじめとした出会いツールの充実により増えたことでしょう。
ちなみにドラマでの出会いは竹脇無我の黒電話によるイタズラが発端でしたからね。
今の美男美女の惚れた腫れたドラマなんて見てられるか。