loveM’s Diary

嬲る仁義

悪魔の乾杯(1947)

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さすがに古すぎて監督、キャスト含め誰も知りませんでした。衛星劇場でテレビ初放送、サスペンスホラーものだったので鑑賞しました。

監督は丸根賛太郎、うーん知らない。調べてみるとあの山中貞雄の再来と言われた技巧派。そうなんですね。ちなみに山下達郎が一番好きな映画は山中貞雄の『人情紙風船

 

『悪魔の乾杯』は1947年作ですから終戦GHQの監視下のもと思い通りに撮れなかった時期かと思うのですが、子供の悲鳴を起点に探偵役による犯人探しから、明確な動機、正義と悪の対比、伏線の回収やどんでん返しなど面白いと思う要素が全て詰まった見事な作品だと思いました。

あらすじは元刑事が休養しているホテルで子供の悲鳴を聞きます。元刑事の性で頼まれもしないのに調査に乗り出します。過去に部屋で子供が亡くなっていた事実を知り、更にその数日前に子供の父親が交通事故で亡くなっていることを突き止めます。子供には姉がおりその面倒を父親の弟がみていました。姉には医師の婚約者がいましたが、生前父親が勝手に婚約破棄させ、違う男性と結婚させようとしていました。失意の中、姉は愛していない男性と数日後の結婚を控える中、元警部は熱海、東京、芦屋、宝塚、奈良、京都をいったりきたりして犯人を追い詰め事件を解決に導くというお話しです。

 

死んだ子供の声とか、不気味なお面が笑うシーン、蛾のアップなど結構おどろおどろしいのですが、元警部役が強引でさらに行動が合理的なのと移動が多いので見てる側は恐怖感に浸ることも出来ずにすぐ現実に引き戻されてしまいます。

そう優秀で推理するという訳でなく調査の段階で得た事実をもとに犯人を追い詰めていくタイプ。

 

その元警部役を演じたのは斎藤達雄。身長が180センチ超えで外見も外国人のごとくシュッとしているので見栄えが良いです。

シリーズ化しても面白かったんじゃないかな。

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まだ商品化されてないし、レビューやwiki情報もないですが、隠れた名作というのはまだま沢山あるのだと思いました。