loveM’s Diary

嬲る仁義

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015)

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2008年のリーマンショックの要因となった低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)を含むモーゲージ債や担保証券が債務不履行になることを予見した投資家たちのドラマでしたが凄く面白かったです。

住宅ローン債権は対象が低所得者向であっても信用が高く、与信もないため銀行は平気でローンを組み、それを商品化し、投資家に売りつけました。金利変動によるローンの焦げつきが商品の破綻を招きマーケットの致命傷になると踏んだファンドマネージャーのクリスチャンベイルは債権の空売りを仕掛け世紀の大博打を打ちます。これが映画の題名になったビッグショートの由来ですね。株ではないので空売りは出来ないためCDSというデフォルト向け保険を大量購入します。毎月莫大な保険料が発生しますし、ウォール街格付け会社、上司からも破綻する訳がないと鼻で笑われる訳です。顧客も離れ投資資金を引き上げられファンドの運用損も増えても自身を信じ信念を貫く姿がカッコ良いです。アメリカンサイコでの無慈悲な役とは違ってストレス解消はコカインや殺人ではなくベビーメタルを聴きながらのドラム演奏と真っ当でしたねー。

同時進行で3つのストーリーが並行します。ひょんなことからクリスチャンベイルが作成した目論見を見て同じくCDSを購入した2人の投資家とその2人に協力する伝説の銀行家ブラッドピット。

あとはやはりクリスチャンベイルの目論みを知ったドイツ銀行のライアンゴズリングから勧められてCDSを買ったスティーブカレル率いるヘッジファンド一行。

所々にどういうことなのか実在の有名人を使って分かりやすく解説しているシーンがありがたいです。

またラスベガスにある日本食レストラン『nobu』を舞台に徳永英明の曲をBGMに美味しそうに抹茶アイスを食べるシーンがあります。

 

結果的にクリスチャンベイルは489%の運用益を顧客や会社にもたらした訳ですが、一方で何百万人の失業者や家を失った人に加え年金や貯金が消失している事実がある訳です。影響が多大であったにもかかわらず責任を追及される銀行幹部はおらず、数年後には同様の商品を売り出し始めたという結びで締めています。反省もせず歴史は繰り返されるんですね。

『人の行く裏に道あり花の山』とは株式相場での格言ですが、結局純粋で信じやすい人は金儲けに向いていないってことなんでしょうね。