loveM’s Diary

嬲る仁義

ダブルベッド(1983)

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日活ロマンポルノ鑑賞第二弾は『ダブルベッド』です。監督は藤田敏八。つい先日藤田監督の『八月の濡れた砂(1971)』を見たばかりでした。あれは日活がロマンポルノ路線に舵を切る直前の作品でした。その後彼は1980年に鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン(1980)』で俳優として日本アカデミー賞を受賞、『帰らざる日々(1978)』『スローなブギにしてくれ(1980)』でトップ監督の仲間入りをし再度ロマンポルノ路線にて撮った作品が『ダブルベッド』になります。

キャスト陣がなかなか豪華。主演は大谷直子石田えり石田えりの恋人役に柄本明大谷直子の旦那役は髪フサフサの頃の岸辺一徳石田えりの妹が高橋ひとみ。他に鈴木清順吉行和子もチョイ役で顔を見せます。

そうそう『八月の濡れた砂』で主役をはった広瀬晶助も飲み屋の客で姿を見せますね。

 

あらすじですが、岸辺と夫婦関係にある大谷が岸辺の親友の柄本と浮気をします。柄本は柄本で石田という恋人がいますが、煮え切らない関係に石田は不貞腐れ、若い男と付き合おうとしますがやはり柄本が忘れられません。大谷は柄本にハマりとうとう岸辺に関係がバレて夫婦間は崩壊。石田の妹、高橋に石田の妊娠を聞かされ柄本は石田とよりを戻そうとします。大谷は男性とのセックスの虜になり全てを捨てて家出します。

という映画。

後先考えず欲望のまま生きる人物を描くという意味では『八月の濡れた砂』に通じるものがあります。ただし登場人物の世代が10代の若者から中年世代に移っています。

今じゃ信じられないですが柄本明がプレイボーイを演じているんです。体を張った大谷とのホットで激しいセックスシーンは新鮮。

石田、大谷、高橋ら女優陣の脱ぎっぷりも見事。惜しげもなくカメラの前に裸体を晒してくれます。ドロドロした不倫劇を見せる訳でもなくところどころユーモアやペーソスを折り交ぜた演出が退屈さを感じさせません。

 

ちなみに公開された1983年といえば映画産業が盛り返していた時期だったかと思います。楢山節考がカンヌを獲り、ディズニーランドも開園、角川映画、ET、南極物語が動員数を増やし、風の谷のナウシカの制作発表など映画にかかわらずエンタメ業界が盛り上がった時期でもありました。私も当時小学生でしたがキラキラした業界に憧れを抱いていましたね。