loveM’s Diary

嬲る仁義

牝猫たち(2017)

彼女よりVODによるロマンポルノ映画祭が開催されていたことを知りました。あわせてロマンポルノを見たことのない若年層による座談会もあったようです。

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上映されたのは田中登監督の『牝猫たちの夜』と2017年に白石和彌が監督した45周年を記念した「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の1作『牝猫たち』で大いに盛り上がったようです。『牝猫たち』は『牝猫たちの夜』にオマージュを捧げた作品であり監督は今をときめく白石和彌。つい最近彼女と劇場で『死刑に至る病』を楽しみました。他にも『孤狼の血』なんかも好きな作品です。現代版『仁義なき戦い』を撮れる監督の1人ではないでしょうか。

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この映画祭はロマンポルノ生誕50周年を記念したもののようですが、逆算すると1972年になります。はて?何の作品を基準にしているのでしょうか。私がもっている冊子によるといわゆるピンク映画の1号は1962年の『肉体の市場』という映画で、ピンク映画という名称自体は内外タイムスの記者が1963年の『情欲の洞窟』という映画の撮影に同行した際に命名したとのこと。

そこでよくよく調べると日活が団地妻シリーズの第一作を公開した時を起点にしているようですね。なるほど。

 

私は『牝猫たちの夜』は観ていませんが『牝猫たち』は観ました。

あらすじは3人のデリヘル嬢を軸に常連客や運転手、経営者を通じて三者三様の生活を描いたもの。10分に一回濡れ場を入れるというルールに基づき撮影したようです。単に職がデリヘル嬢というだけで濡れ場を挿入しつつも、軸がしっかりした物語となっているのがこれぞロマンポルノ。中身のないAVとは違います。なかなか面白かったですね。

1人は引きこもりのシニカルなネット青年、1人は妻を亡くしヤケ気味の初老の男性、1人はドSな芸人(とろサーモンの村田が迫真の演技!)と相対しながらも会話や経験を経て自己成長していきます。

この初老の男性こそ日活ロマンポルノ創成期を支えた伝説の吉澤健であることに気付きましたでしょうか?彼は『牝猫たちの夜』にも出演しています。妻に先立たれ、デリヘル嬢に救いを求めながらもコトをなす事が出来ず不能状態でありそれを何とか癒そうとする嬢の健気さが素敵。食事にも行く仲に発展しますが、悲しいかなしっかり旦那がいたのを目撃してしまうのです。

 

また吉澤健も上手に乳首を舐めるんですよ。さすが!

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他にも前述した団地妻シリーズに出演した白川和子に本物の緊縛師まで出演し映画の華を添えてくれます。またチームNACSの音尾琢真がチンピラ経営者役で白石和彌監督に気に入られたのか『孤狼の血』でも彼を使っていましたね。店が閉店に追い込まれ自暴自棄になり、店の掟をいとも簡単に破ってしまうシーンが良かったですね、やはりこいつも男なんだなあと。

ちなみにとろサーモンは2017年にM1グランプリで優勝しますので爆発前の登場だと思われます。

 

『牝猫たちの夜』は舞台が新宿のトルコ風呂ですが、『牝猫たち』は現代らしく池袋のデリヘル。登場人物も現代っぽくネット引きこもりオタクとか虐待するシングルマザー、子供の面倒を見るサービスを請負う個人業者とか設定が身近なものにブラッシュアップされてて座談会の参加者もすんなり感情移入出来たようです。

ストリップ劇場もそうですが場末の汚い映画館でオジさんがかぶりついて見ているのは今や昔。

大人のオモチャ屋同様カップルでエロを楽しむ時代なのです。